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Requiem 

梅梅さんの訃報が伝えられた10月15日から一ヶ月と少し経ちました。
毎日楽しくてしかたなかったブログ更新が他人ごとのように感じられ、
日々の生活の中から すっ となくなってしまいました。

それぞれに哀しみを克服しようと前向きに頑張る方達を見習い、気持を
盛り上げてみようとしてもすぐには行動がともなわず、時間ばかりが
どんどん過ぎて行きました。

更新しない私の部屋に昔の梅梅さんの姿を懐かしみにおいで下さったり、
ぐずぐずしている私を心配して様子を見にきてくれた方のお気持ちに
なんとか応えたい!と不定期に更新したりデザインを変えてきましたが、
結局せっかくおいでいただいても、前回登場したパンダさんが寂しく
置き去りにされている事が多く申し訳ない気持でいっぱいでした。

明日が待ち遠しいほど楽しかったブログなのに、こんなにあっさり
終われるものなのか・・・それほどまでに梅梅さんの存在が大きかったん
だと思います。

今年の始め、成都基地で暮らす雄浜くんが病気になった時、私は梅梅さんの
おっぱいに張り付いている愛ちゃんと明くんを説得し、梅梅さんの母乳を
わけてもらい、栄養たっぷりミルクで元気が出るよう、雄浜くんに送って
あげられたらいいのにと思いました。

良ちゃんの妊娠・出産についても、もし不慣れではじめは上手に育児が
できなくても、梅梅さんがすぐそばにいてくれるからあんちん(安心)
だよね!と勝手に満足していました。

生まれてから成人するまで、いつも一緒だった隆ちゃん秋ちゃんの奇跡に
至っては改めて私が繰り返す必要などありませんし、幸ちゃんの健気さは
梅梅さんとの早い時期のお別れに起因するものでした。
健康に不安があった永明さんがすっかり元気を取り戻したのも梅梅さんの
存在の賜物だと信じて疑いません。

梅梅さんは私にとって、パンダファミリーの中心であり、精神的支柱だったん
だと思います。
その事に気付いたのが梅梅さんが亡くなってからだったのがとても辛くて
仕方ありませんでした。
健康で元気いっぱいなのは当たり前・・・そう思っていた私は浅はかでした。

普段は美味しく食事をし、家族と笑い合い、遊びに出かけたりしていました。
ただ、パンダの事を考えると、梅梅さんにどうしても想いが行ってしまい涙が
出て困ってしまいました。

一度はしっかりと受け入れたはずの梅梅さんの死が、思い出す度に受け入れがたい
新たな悲しみとなり、ちょっと押せば涙が出てしまうメソメソしてしまう私・・・

しかし、そんな私にも気持が一変する日が来ました。

良ちゃんのふたごの赤ちゃん命名式・・・

発表されたそのお名前「梅浜」「永浜」を見た時の感動は今もはっきり覚えて
います。そのふたつのお名前は本当に輝いていました。
見るだけでも辛かった「梅」という文字が、素晴らしい家族を築くパートナー
であった永明さんの「永」の文字と並び、ふたたび心の中に温かく染み渡り
ました。

「 梅梅さん、あなたが日本に来て最初に産み、たくさんの人に幸せを与えて
  くれた愛娘良浜の女の赤ちゃんに、あなたのお名前が付けられましたよ。
  ふたごだった男の子には掛け替えの無い永明さんの「永」という文字が! 」

そう梅梅さんに心の中で語りかけ、すっかり私の気持は蘇りました。


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その日から数日は同じ想いに喜ぶ方からメッセージを頂き、今度は喜びを
分かち合える事ができました。
ご覧頂いているみなさまも同様のお気持ちだったと思います。


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また、梅梅さんの表情に、彼女自身の満足した幸せな表情を感じるように
なれました。


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与えてくれつづけただけのように感じ、早すぎる死とあわせて不憫で不憫で
仕方なかった梅梅さんが、優しい永明さんとの恋の駆け引きや可愛い子供を
育む中で、彼女自身この上なく幸せな日々を送っていたと確信できるなった
のです。


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梅梅さんは来日する前に身ごもった赤ちゃんをお腹の中で大切に育みながら
永明さんの待つアドベンチャーワールドにやってきました。
梅梅というお名前を持つパンダさんの嫁ぎ先の紀州が、梅の産地であった事は、
運命だったのかもしれません。

当時、永明さんは共に来日したヨウヒンちゃんに先立たれ、一頭で
暮らしており、寂しさのせいか体調を崩しやすかったそうです。

しかし、梅梅さんと出会って彼女を気に入ってからはすっかり健康になり、
たくさんの子供に恵まれ素晴らしい家族を作りました。


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既に中国で出産の経験があった彼女は、良ちゃんを産む事でパンダの
出産と育児を。その後、珍しい夏の終わりの発情、戸惑う永明さんを
リードしたそうです。そして飼育下では世界ではじめてという冬の出産、
育児を見事に成し遂げました。


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日本に来てはじめてのふたごの赤ちゃん、隆ちゃんと秋ちゃんを自分の手で
育てて世界のパンダ研究者を驚かせました。
幸ちゃん誕生時は生後数日で公開産室にて育児する姿をお披露目し注目を集め、
たくさんのパンダファンを増やしました。(私もその一人です)
そして、二度目の冬の出産はふたご。小さく生まれた明くんのために、
初めての交換保育が行われました。


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出産し育児し、自然交配をリードし成功させ、冬生まれの子供を育て、
一度目のふたごは自身で育て、二度目のふたごは交換保育・・・
ありとあらゆるケースをアドベンチャーワールドの飼育スタッフさんと
協力してやり遂げた梅梅さん。
そして梅梅さんと築いたアドベンチャーワールド飼育スタッフさんの経験が
良ちゃんの出産、育児に素晴しい成果をあげています。
梅梅さんはたくさん子供を産み育てただけではない大きな大きな功績、
パンダ飼育に携わる全ての方達に素晴らしい経験を与えてくれたんだと
思います。


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梅梅さん、良ちゃんはあなたが育んだパンダと人間の信頼関係、そして
万全のサポートの中、初めての出産、子育てを頑張っていますよ!


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寒さ厳しい中、美しい白い花を咲かせ、たくさんの実をつける「梅」の木。
全ての可愛い梅の実達は、それぞれに色づき(笑)、それぞれに
多くの人に愛され、幸せを与えてくれます。

私達はあなたの子供、そして孫達の繁栄を見守り、守ってくれている人達を
応援していくことを約束します。

頼りなく、まだまだ与えてもらうばかりの私ですが・・・

梅梅さん、本当にありがとう!

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